ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ブラスアンサンブル ドリーム・コンサート

11/21、RCO Brass公演に行った。RCO Brassは16年末頃FacebookにUPされた『運命の力』序曲(ブラスアンサンブル編曲版)を見て度肝を抜かれて以来注目してきた。

今年はRCOベルリン・フィルの来日タイミングがまるっきり被ったので、ベルリン・フィルを優先しRCOは泣く泣くチケ取りを諦めた。。RCO Brassもベルリンフィル公演の翌日なので我慢しようとしたけれど、フルアンサンブル アジア初公演!という文言を見て行かざるを得なかった。連日の演奏会で反芻する暇がなかったけれど後悔はない!

 

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出演

Member of the RCO Brass

 Tp:オマール・トマゾーニ

 Tp:ミロスラフ・ペトコフ

 Tp:ジュリアーノ・ゾンマーハルダー

 Tp:ヤコ・フルーネンダイク

 Hr:ケイティ・ウーリー

 Hr:ラウレンス・ヴァウデンベルク

 Tub:ペリー・ホーヘンダイク

 Tb:ユルゲン・フォン・ライエン

 Tb&Euph:ニコ・スキッパース

 Tb:マーティン・スキッパース

 Bass Tb:レイモン・ムネコム

 

演目

 ショスタコーヴィチ:祝典序曲

 スザート:「舞曲集」より

 バッハ:目覚めよと呼ぶ声が聞こえ

 バッハ:ブランデンブルク協奏曲第3番

 グラナート:コンセルトヘブラー

 ワーグナー:楽劇『ローエングリン』より「エルザの大聖堂への行列」

 ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲

 ヘンデル:オラトリオ『ソロモン』より「シバの女王の入城」

 バッハ:主よ、人の望みの喜びよ

 ピアソラ組曲ブエノスアイレスのマリア」

 ガーシュインガーシュイン・セレクション

 ヘーゼル:Mr.Jums(アンコール)

 

 

 

所感

吹奏楽大国・埼玉で開催されただけあり、聴衆もプレイヤーがほとんど。吹奏楽部員とみられる中高生や音大生も多く、オーケストラコンサートで見られる聴衆層とまるで違う。プロ奏者も何人かいらしてた様子で私が分かる限りではN響の吉川さんがお見えだった。

そんな世界的プレイヤーによる日本のプレイヤーのためのコンサート、会場が小規模だったこともありアットホームでありながらポップスコンサートのような盛り上がりだった。楽しかった~!

 

 

ドイツ系サウンドとは違う温かくまろやかなRCOサウンドに耳をチューニングするまでに時間を要したけど、慣れてからは非常に心地よいサウンドだった。チューニングするまでどうしても前日に聴いたベルリンフィルと比較してしまった。

RCOのまろやかなサウンドって使用楽器だけでなく息の入れ方やタンギングの強さが他と違う気がするけど、生で聴いたのに決定的な要因を発見できなかった。次回来日時にはよく観察したい。

 

 

動画で予習していたとおり、早いパッセージを的確に当てていくのがすごい。普段早いパッセージを吹く機会を与えられにくい金管だってこれだけできるのよと言わんばかりのパフォーマンス。圧巻だった。

圧巻のパフォーマンス、祝典序曲のリハ映像で伝わるかな。本当にすごかった。金管楽器の可能性を広げたと言っても差し支えないと思う。 

 

 

RCO Brassを注目するきっかけとなった『運命の力』序曲は、youtubeFacebookにUPした当時2016年と比較しても今回のほうがよりブラッシュアップされた演奏を聴かせてくれた。細かいミスもないし、旋律が板についたのか表現力アップしていた。今後まだまだ良くなりそうで目が離せない。

白眉だったのがユーフォを吹いたニコ。ユーフォの温かい音色がRCOサウンドに合っていて、かつ高音と低音の間を繋ぎ合わせていた。それでいて細かいパッセージを完璧に吹く。…これだけ上手くてユーフォ専門奏者じゃないのが信じられない。ニコを見てしまうとトロンボーン奏者全員ユーフォニアムを容易に吹けるんだと誤解されそうで怖い(そんなことないです)。

ピッコロトランペットを吹いたミロもとんでもなく上手かった。RCOらしい温かい音色を保ちつつハイトーンを的確に当てていた。変に浮きもせず、他の楽器と調和しつつリードしていたのが素晴らしい。

 

 

 

 この演奏会に足を運ぶきっかけとなったもう1曲、ブエノスアイレスのマリアもとんでもなく上手かった。Tb首席のライエンが芯のある音で朗々と歌う演奏を聴いて、ライエンは正直うまくなi…(以下省略)と思っていた自分を恥じた。単なる好みの問題でした。とびきり上手いです!すいませんでした!

芯のある音で朗々と歌いながらブラスをリードし、細かいパッセージも正確に吹いていて頭一つ出た上手さ。ソリストとして活躍していても見劣りしない。

 

Tb 2ndのマーティンもブラボー。a2のときは1stのライエンを引き立て、アンサンブルの場面になったら1stにぴったり寄り添いながら和声をつくり、Tubの補佐的役回りもこなし…2ndトロンボーンの理想形であった。私自身、オケやってた頃は2ndを吹くことが多かったので非常に勉強になった。アンサンブルを作る2ndの仕事を全うしていた。

 

ブエノスアイレスのマリアではニコがギロほか小物パーカッションを担当。曲が始まる前に準備が遅くなったミロにウッドブロックをポコポコ鳴らしながら早く早く!って急かしてたのがチャーミングだった。

カホンはホルンのヴァウデンベルクが担当。専門外とはいえ、パーカッション2人入るだけで曲にリズム感が生まれて張りが出てた。ちなみにこのとき使用した打楽器はヤマハやドルチェ楽器の貸与だそうで。

 

 

 

ロマン派以降の作品とバロック・古典の作品で並びを変えていたのが気になった。ロマン派以降の作品では、上手からTp,Hr,(Euph),Tub,Trbというよくある金管アンサンブルの並びであるのに対し、バロック・古典の作品ではTrb,(Tp),Tub,Hr,Tp(フリューゲル)だった。

金管アンサンブルの知識は吹奏楽部のアンサンブルコンテストでやった程度しか持ち合わせていないので意外に思ったのだけど、バロック・古典の作品ではTpを下手、Tbを上手に配置するのが一般的なのかな。

「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」では、上手にTbとTp、下手にフリューゲルとHrを配置していた。こちらは曲の構成上、カノンになっているので同じ旋律を担当するパートごとに上下に分かれたのかもしれない。このあたりのことをプレイヤーに直接聴きたかったなぁ。英語力不足。悔しい。

 

 

 

終演後

今回の演奏会で何故か乗らなかった私の贔屓、Bart Claessensが客席にいたので終演後を見計らって声をかけた。奥様と見られる女性と2人でいらしたところ声かけたら温かく迎い入れてくれて、奥様の方から写真撮ろうか?と言ってくださった。感動。

写真とともにサインも貰った。私もトロンボーン吹いてるんだと言ったら、「東京で?」と食いついてきてもらったり、ヤンソンスとのマラ3のソロが最高だとも伝えられた。感無量のあまり相当ちぐはぐな英語を話していたと思うけど、耳を傾けてくれた。優しい…。直々にファンだと伝えられてよかった。こんなヨーロッパから離れた島国に自分のファンが居ることを嬉しく思ってもらえたら嬉しいなぁ。

 

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出演メンバーたちのサイン会にも参加した。時間の関係上好きな1人に貰って!と主催者に言われたので、ニコにサインをもらいに行ってインスタ見てるよーって伝えた。

それでもまだサイン列に余裕があるのを見計らってミロやほかのプレイヤーにももらった。Amazing Performance!と言ったけど伝わったかなー…。

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RCO Brassのメンバーたちのインスタ見たらこの公演を心から楽しんでもらえたみたいでこちらも嬉しい。また来日したら演奏会に足を運びたい。