ウィーンフィル来日2018

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久方振りにウィーンフィル来日公演に足を運びました。前回はドゥダメルと来日した2014年だから実に4年ぶり。

半年以上前の発売日に発売時刻と同時にチケットを手配して以来、楽しみにしてきた本公演。先に感想を言ってしまうと、大満足の演奏会でした。さすが世界一のオーケストラ、各プレイヤーのアンサンブル力が逸脱している。

 

 

 

演目

 

 

出演

 

 

 

皇太子さまがご臨席なさっていて、SPの隣の座席で鑑賞するというイベントに初めて遭遇しました。皇室ご一家に遭遇したことはこれまでもあったけれど、まさかSPの隣とは思いもよらなかった。

 

さて、演奏は冒頭でも述べましたが、とにかくアンサンブル能力が高いです。兎角巧い、巧すぎる。各々のパートが一人で鳴らしているような錯覚を起こすほど息がぴったりでした。オーケストラでありながら、まるで大きな室内楽のように次から次へ他の楽器と合わせていく。かと言って、自分本位に進めていくのではなく、きちっと指揮者の意向に添う。

「アンサンブル能力が高い」というと個人が埋もれているように思われるけどそんなことはなく、ソロの場面になったら主張していく。ソロが終われば周りと溶け合う。

これが世界一か…と唸らずにはいられない。

 

前プロ「魔笛」の最後。完璧なEs-durのコードがサントリーホールの響きと共に降り注いだ瞬間のことは、一生忘れられないでしょう。

完璧に合ったコードを聴くことは、音をいじりにいじった音源でしか無理なのではないかと諦めかけていた。理想だけを追い求めていても満足できる演奏に出会えないのであれば、理想のハードルを下げなければならないのかと思っていた。

そんな矢先、やっと理想に出会えた。やっぱり理想を下げなくてよかったんだ。

 

ブラ2は金管が鳴らしすぎていて荒削りようだったのが玉に瑕だったけれど(メストの指示と思われる)、アンサンブル能力が高すぎるので問題なし。ブラ2は演奏したことがあり隅々まで曲を知っているつもりだったけど、アンサンブルがパーフェクトすぎてこれまで聴いてきたブラ2とは違う楽曲を聞いた気分になった。これだからクラシックって面白いんだよなぁ。(自分のスコアリーディングの甘さを突きつけられた気分でもありましたが。)

とくに3楽章が美しかったです。ホールの隅々まで響くチェロのピチカートに、朗々と完璧にハモリ合いながら歌うオーボエ2本。オーボエからクラリネットやフルートに受け渡すのも自然。

 

 

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アンコールはシュトラウスのワルツとポルカシュトラウスをやるには彼らの右に出るものはいない、というか、シュトラウスは彼らのための音楽。

ウィンナ・ワルツの揺らしというのは、そもそもワルツを踊る際ドレスの裾が翻って戻るのに合わせていると聞いたことがあるけれど、まさにスカートが翻って戻るさまが目に浮かんだ。

 

 

とにかく世界一を実感させられたひとときでした。また来日した際は必ず聴きに行こう、そしていつか本場で定期を聴けるように健康と節約と勤労につとめようと心に決めました。