【東京春祭2018】 ローエングリン

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4月8日、東京春音楽祭のローエングリンを見た。出演は下の画像の通り。

 

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東京春祭のワーグナーシリーズは、一昨年の『ジークフリート』以来2度目。

前回は、あまりメジャーな作品でなく、且つ平日ソワレであったことから席に余裕があったのか、U25チケットにも関わらず1階席1列目でキュッヒルソリスト陣を堪能できた。そんな良い思いをした記憶が鮮明なので、今回も格安で良い席に座れると思っていた。が、超人気のクラウス・フローリアン・フォークト様がローエングリンを演じるとなれば、マダムやファンが色めき立たないわけがなく超満席。残念ながら、今回は5階席上手だった。

 

フォークト様のローエングリンは、2年前に新国立劇場で拝んだばかり。おまけに、フォークト様出演の2012年バイロイトでのローエングリンを頻繁に見ていることもあり、期待度はマックス。あの甘い声のローエングリンを再び…!

そう思っていた矢先、開演直前にフォークト様がお風邪を召されたというアナウンスが。降板かと落胆しかけたが、「体調不良ですが、出演します!!」との力強いアナウンスに会場全員で拍手。そりゃあ、会場の全員がフォークト様を拝みに来たもの。

 

 

1幕中盤で降臨した(そう言わざるを得ないほど、フォークト様扮するローエングリンは神々しい)フォークト様は、とても体調不良とは思えぬほど美しかった。あまりの美しさに会場中から恋に落ちた音が聞こえた気がした。

登場シーンがピアニッシモだから、体調不良で声量が出ないのか判断が難しくハラハラしたが、次のシーン(Heinrich,Heinrich~)からはいつも通りの美声を響かせてくれて安心した。幕間の休憩時間中、其処彼処から「体調不良だけあって、ちょっと声出しにくそうだ」という意見が聞こえたが、私にはそうは見えなかった。ダイナミクスレンジのも表現も幅広くて、流石の主役様!と言わしめるほど圧倒的だった。

もちろん、体調不良のハンデは無きにしもあらずだろうが、フォークト様の神々しく美しいお姿を拝見し、お声を聴けた、それだけで満足。

 

 

オケはN響が担当。普段新国立劇場や他団体でピット入りしている東フィルや東響と比べても、N響はオペラ慣れしていないのかなと思ってしまった。あくまで、シンフォニーオケであって、歌の伴奏としてオペラの言わば「背景」になりきれていなかった。無論、シンフォニーオケと劇場オケを兼ねられるのは世界レベルで見ても、ウィーンフィルしかないので、N響に求めるのは酷とは承知の上で。(シュターツカペレ・ドレスデンも、割とどちらも出来ているかな~)

加えて、体力がない。ワーグナー作品がハードなのは重々承知だけれど、管楽器はみなバテている印象。休憩時間含めて5時間の公演、もうちょっと余裕を持って挑んでもらえたらいいのにな。

ゲストコンマスのキュッヒルは残念ながら見えず…。ちょっぴり身体を乗り出して見たら元気そうだったので安心した。妙齢なのでお体を大切にしつつ良い音を聞かせてほしい。

 

 

最後に。

結婚式でローエングリンの結婚行進曲を流すのが定番のようだけれど、ストーリーを鑑みるととても適当な選曲とは言えない。新婚初夜に新郎が帰っていくお話の曲を流すなんて…と改めて思ったのでした。

私が結婚式で流すとしたら、バレエ『ドン・キホーテ』の3幕かなぁなんて。

 

 

おわり。